会社に同業者で同級生でもともと俺と一緒にウチの会社でバイトしてたひとがやってきて。なんだか今度こっちに転勤になったから店見に来たとかいっていて。お互い口には出さないけれど「お前のとこになんかぜったい負けないからなばーかばーか」って行間に挟みながら世間話をしたりした。いつのまにか向こうのCD部門の一番エライ人になったのだそうな。そうか、そりゃあ頑張ったね。しかし相変わらずあなたはエラそうに喋るね。いや、あなたのとこの会社なんかよりウチのほうがぜんぜん頑張ってるから。あんたもあんたのとこの会社もそういうエラそうなとこがキライなんだよ。絶対まけない!ばーかばーか。
とはいえ同じ大学の学部も学科も同じで一緒に授業も受けていた仲なのでフツウに世間話もしたりしたのです。今は嫁も子どももいるそうな。あらまあ、あなたも随分まるくなったねえ。どうせ子どもの写真もちあるいてんでしょ!っていって無理矢理写真を見せてもらったりし。うん、幸せそうだね。良かった。いや、正直あんたの会社なんか潰れたらいいとおもうけど、そしたらこの子育てられなくなるしなあ、それはやだなあ。なんだか悲しいねえ。同級生なのにねえ俺ら。なんだか複雑な気分になりますよ。いや、俺は潰したいんだけどあの会社。でもねえ。どうしようねえ?あああああああ。
しばらく静かにお互いの会社を罵りあい、お互いに自慢話をしたりしたあと、ふたりとも携帯の番号が変わってないのを確認したり、こんど飲みに行く約束をしたり、まあお前もがんばれや、とかいわれたりいったりしてお別れしたのです。
でもたぶん飲みには行かない。いってもきっと楽しくないと思うから。お互い違う仕事してたらよかったのにね俺ら。
…かなしい。