ふだん仕事中、お客さんから声をかけられない限りこちらから極力「お探ししましょうか?」と声をかけたりはしないようにしているのです。
お客さんはよく店内で迷います。探している商品がみつからずきょろきょろします。お客さんによっては大きな声で「どこにあるかわからんわー」っていいながら店内をあるいたりなさいます。でも声はかけません。話をきいていて、そっとコレですか?て渡そうものならドン引きされたりするので非常に傷つきます。なので絶対にこちらからは探してあげません。
逆に俺に商品を探して欲しいひとは何もいわずまっすぐ俺のところにやってきて「すいません」と声をかけてくださいます。声をかけてくださらなくとも「訊いてみようよ」とか「探してもらおうよ」なんて相談でもしてくださればそっと近づいてみたりします。そういう場合はサクサクお探しできるので気を揉まずにすみます。そういうのが好きです。
きょうも会社でもくもくと仕事をしていると、俺の作業台のそばでじょうしこうせいのお嬢さんたちが談笑しているのが耳に入りました。しばらく彼女たちの音楽談義にああそうですかそうですかと耳を傾けていたのですけれど、ひとりのお嬢さんがおっしゃいます。
「わたしなー、洋楽ですごいきになるのがあるのーなんとかデイっていうんだけどすごいかっこいいのー」
「ええ?だれそれなんとかデイてー」
「ようがくでなーカタカナでなんとかデイっていうの



い や カ タ カ ナ っ て !

とつっこみそうになりながら俺は耐えました。なんとかデイの正体にとても興味があったのですが声はかけませんでした。
彼女のいうなんとかデイはいったいだれなのでしょう。彼女たちが帰ったあと、ひとりでいろいろと想像してみました。
ええとええと。ブロンデイ?いやそれはアダルトすぎますね。バネッサ・パラデイ?俺が女子高生の頃はそれはもう大人気でしたよ?ちがいますね。ええと。いま旬のひとだったらテイキング・バック・サンデイ?(売れてますよ。)あ、あ、もしかしてグランダデイ?それならおばちゃんと2じかんくらいお話ができそうだねお嬢ちゃん!(ありえません。解散かなしい。)
…順当にかんがえればグリーンデイなんでしょうけど、天下のグリーンデイのお名前があやふやになってしまうあたり、トトリの女子こうせいはユルくていいなあとおもいました。うんたしかにカタカナぽいしな!