アタリさん。

中孝介さんという新人さんがおられるのです。
中さん、とかいてアタリさん、と読みます。
もう年末くらいからインディーで1まい出されていて、一部のお店ではうれているらしいのだけど。奄美出身で若手の島唄の歌い手さん。
こんど3月1日にソニイさんからメジャーデビューなさるのですけれど、以前ひと山当てた元さんとおなじラインで売り出そうとしておられて。珍しくアニメとか手前味噌のタイアップをつけずに売ろうとなさっている分、売り手としてもその本気ぶりがうかがえてひさびさにガーンと来そうな予感をひしひし感じており。実際曲も良くて、従来のファルセットとは違う島唄特有の美しい発声が非常に心地よく。はじめて聴かせていただいたときは「これ、春休みとかにきいたらたまんねえだろうなあ」*1という春楽曲特有のスコンと抜ける感覚にくらくらしたものですが。(そんとき外じゃ雪降ってたし。)その場の勢いで思わず大量発注をかけてしまったが故に先日先行サンプルが届きまして、改めて聴いてみたのですけれどもこれが実にいい。ソニイさんはぜひめざましあたりで宣伝かけてガンガン売ってくれるといいと思います。まあ、そんなことはどうでもよくて、サンプルを聴いていて衝撃を受けたことがひとつ。C/Wの曲の中でこの方「街」のカバーをなさってるのね。クレジットとかぜんぜん見ずに聴いていたので「こ、の〜」のイントロを聴いたときはビックリしすぎてその場に倒れそうになりました。まごうことなく「詞/曲 岸田繁」。俺、ほんとうに初期くるりが大好きなので、しかも街はたぶん1,2を争うくらい好きなので、そういうチョイスをされると無条件に支持したくなりますよ。いや、もうしてますけど。原曲の息の詰まるような焦燥感(ミドルテンポなのにあのギリギリな感じはほんとすごいとおもう。)とはまた違って、詞曲の美しさだけが昇華されたようなたいへんスバらしいカバーだったので、みなさんご機会があればお聴きになられてみるとよろしいかと。聴いててちょっと涙目になりましたよ俺(30さい)。
調べてみましたら、ほかの曲にもいしわたり淳治さんが作詞で参加されてたりして(さいきんよく働いてるなあ)ここら辺の世代の人がこういうソニイさんの仕掛け新人さんの制作側に引っ張ってこられるようになったんだなあ、とおもうと、自分も歳を喰ったなあという気がしてしみじみいたしますけれども。ははは。(遠い目)
でも絶対売れると思うし、自分がすばらしいと思ってきた方たちの作ったものがこういうとても才能のあるひとを通して多くの人に知られるのって、悪い事じゃないなあ、と思ったりしたのです。うん、たぶん売れるとおもう。ん、だけど。

*1:30さいにしてまだ「春休み」という概念が抜けないのもどうかと思うが。