またひとり。バイトっこがやめるよ。
やっと1人でいろいろできるようになったから、わりと頼りにしているこだったのにやめてしまうらしいよ。なんでも知り合いにてつだって、っていわれたからそっちで働くことにしたんだって。今月でやめちゃうんだって。えらい急な話だ。
つぎ、なにすんの?って訊いても教えてくれなかった。まあ、なんでもいいよ。どうせ働くなら働きたいところではたらくのがいい。そうおもうよ。僕はそうおもうのだけれど、その子が辞めるっていったら店長がエラいキレたらしいよ。ふだんその子のことを構いもしなかったくせに、そういうところだけきいきい言ったりするから不思議な人だ。きいきいキレたらその子が泣いちゃってねえ、ってわざわざ僕にいうんだ。いや、泣かせたのあんただろ。僕はしらないよ。どうしよう、シフトまわんないねえって僕に困った顔していわないでよ。求人とか職安とかいろいろあたればいいじゃないか。ちうかひと足りないんだから、あんたが最近雇った事務とかあんたの秘書みたいな仕事するこ、僕にくれよ、っていったらスゴいやな顔された。なんだよ、くれないのか。いい加減あんた自分の好みの子ばっかり可愛がったりすんのやめなよ。自分のいうことばっかきく子ばっか側に置くのやめなよ。ほら、また僕がぎゃあぎゃあいうからやな顔した。やめなよそういうの。
いいよ、シフトは僕がなんとかするよ。僕がいちにちじゅう店に居ればすむはなしだ。その分僕も仕事がすすんでちょうどいいよ。うん。もうみんなすきにするといい。

ぼやんと考えた。僕はいま誰かに誘われたらそこで働くことにしたりするんだろうか。そこの仕事がたのしそうだったら僕はヒョイっと会社をやめちゃうのかな。じっと考えてみたけど想像がつかなかった。もうしんどいしんどいとずっと思い続けているのだけれどそれでも僕はこの仕事がすきなんだとおもう。きっとそうなんだろうと。おもった。