オオサカに出かけて参りました。

2月→5月終いにかけての怒濤のマツリセッションヌが終了してからというもの、発表される日程、発表される日程向こう数カ月、どうにも、そんなのいけねえよー!な日程ばかりだったので、無理矢理拝見しにまいりました。向井アコエレ
ワンマンじゃなくてハラカミ先生のツアーにゲストしゅつえんなさる(しかもなぜかオオサカだけ)という実に脈絡のない催しだったのですが、この際せんせいのお姿が拝見できればなんでもよかったのです。ええ。ひさしぶりにでかけてきましたよ土曜びのオオサカ。ひとでいっぱいのオオサカ。(死んだ目)
こんかいはわたくしの数少ないマイミクさんであらせられるところの謎のリーマン、まるさんもお見えだったのでご一緒していただきました。
まるさんはおそらく割と初期からこの日記をご覧になられているちょっと変わった方で、ここ数回お互いのライブ日程が驚異のシンクロ率で被っているのもあって最近よくお目にかかっているのです。まるさんは俺より年上なのに、しかもふだんはフツウにお仕事なさっているはずなのにライブが俺とおなじペースで、そのうえ平行して映画もはんぱないペースでご覧になられているらしいひじょうに気合いのはいったひとで、せっかくなのでこんかいはライブのついでに映画もご一緒していただきましたよ。
とはいえ。思いつきで映画観ますかーといってみたのはいいものの、みたいと思ってた映画は軒並みレイトショーだけだったりで、おたがいちょうどこの時期観たい映画がなく。俺(30さいだけど脳が中学生)は「大画面に映るフィリップシーモアホフマンがみたい」てしょうもないりゆうでエムアイスリー(トムくん大活躍)を猛烈に推したのですけれど、「ひとがいっぱいで観られませんよ」とやんわり断られました。で、かわりに観にいったのが
ゆれる
瀧がでてますよ、ておしえていただいて「じゃあそれー」てひゃっひゃいいながら観にいったのですがこれがじつにたいへんな映画でした。
「オダギリと香川照之が兄弟のえいが」程度の前知識しかなく観にいったせいもあって、お話の展開にも非常にビビったのですが(なのでここでは敢えてあまり触れませんよ。)もう香川照之の演技がはんぱなく上手い。つうか怖い。それがお話の展開のなんともいえぬ救いのなさを増幅させていきます。お話はひとつの事件をきっかけに、まじめで人間的に盤石だった(唯一難をつけるとすればモテない)お兄ちゃんが大バースト→それに対し、自分勝手で何事にも動じないはずだった弟くんが右往左往してすすんでいくのですが、もう香川照之はそのお兄ちゃんを恐ろしいくらい完璧に演じるのです。お兄ちゃんの壊れぶりのおかげで弟くんの混乱がよりいっそう観ているひとにリアルに映るかんじ。あれには参りました。
寂れていく一方での地方での生活、その閉塞感も非常に上手く綴られていて、じっさい日本でいちばん貧乏とされる地方都市で暮らしている身の俺にとってはたまらないものがありました。われわれにとって、こんな何もない街でこの先どうなるのかなあという不安は日常的につきまとう物なのです。でもわかってるんですよ。都会にいったって将来の不安は消えるわけではないということもね。だからいまもこうして地方に住んでいるのですけれども。…ほんとうはオオサカに移住しちゃえばいろんなことがもっとかんたんなはずなのにね。物語のなかでお兄ちゃん(実家でお家の手伝い)と弟くん(トウキヨで大活躍)の間で「ああいうふうにはなれないなあ(ならないなあ)」というお互いのコンプレックスが交錯するのをじっと見つめながら、そこに自分を重ねて。さてこれから俺はどうしたものかなあと考えてすこしだけ暗い気分になりました。
お話も登場人物の見せ方も画面のディティールも非のうちどころが無く、とても巧くつくられた映画だとおもいます。ふだんならぜったい進んでみないタイプの映画だったので、非常にべんきょうになりましたよ。(半ベソになりながら)
香川照之のみならず基本的に出演陣のみなさんもほんとに上手いヒトばかり(特にキム兄はほんとうにうまかった。つうかアレ素だったんじゃないかとおもうくらい。)で、そのぶん映画の間じゅう俺の頭の中は悲鳴でいっぱいだったのですが、そのなかにポツンといつも通りの朴訥演技をなさっている瀧せんせいが俺にとっての心の救いでした。ありがとう瀧。俺はあなたのことが大好きだ。
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レイハラカミせんせいのライブにいきました。
梅田から心斎橋へ移動して。HMVでいろんなものが叩き売られているのをみて小刻みに震えたりして時間を潰し(ジャッカスのTシャツ付BOXが4割引で売られてビビった。)開場ちょいすぎにクアトロにいってみたらひとがいっぱいでビックリしましたよ。SOULD OUTだったんだそうです。あらまあハラカミせんせい大人気。
人の山をみて整理番号もよろしくないし人も多いしまた後にしますかー、と即エレベーターを逆戻りする気合いのたりないオーバーサーティーズ。今回は向井先生の他にもうひとかた、フアナ・モリーナさんという女子のかた(フロムアルゼンチン)もしゅつえんされるのでそんなにガツガツしなくていっかー、と、だらっだらコーヒー飲んで開演ギリギリに戻ってみたら1番手が向井先生でちょうびっくりしました。ギターのストロークが聞こえてあわわ大変!とすぐに前寄りへ移動して割としっかり拝見しましたよ。(けど瞬時にセットリストは忘れてしまったので以下てきとう。)
●向井先生はジャケットを着てオサレなストローハットを被って登場。以前観たときよりも足下のサンプラーを上手に操って変幻自在にプレイなさるのが印象的でした。
●そういや俺アコエレ観るの1年半ぶりだー…でもほとんどセトリが変わってなかった気がします。Sentimental Girls Violent JokeやKU〜KIとか猫踊りとかロックトランスフォームド状態におけるフラッシュバック現象とか。アコエレではおなじみの曲。Ⅲの曲はWATER FRONTくらい?でもなんど観てもたのしい。
●先生、アコエレのときはきれいな声でうたっています、と以前どこかでおっしゃっていましたが、アコエレはきれいなお歌に加えて先生のギタープレイが存分に拝めて最高ですね。ザゼンボのときはストローク中心でギターソロとかほとんどないし。
●今回はアコギなしでエレキのみ。そういえばテレキャスじゃなくて見慣れない青くてギラギラしたギターをひいていらっしゃいました。あれなんだろなー。*1

●ガンガンギターを弾く先生。帽子ズレる。弾く。帽子落ちる。袖からジャーマネ吉田さん(敏腕)が歩いてきて帽子被せる。(場内爆笑。)向井せんせいまた帽子を落とす。どんな体勢だろうがどんなに弾いていようが被せる。…これが延々続く。
●さいご、サンプラーでギターの音をループさせて悠然と舞台袖へ去っていく先生はちょう男前でした。
そのあとそっと舞台に現れてアンプの音を絞っていく吉田さん(敏腕)もとても男前でした。
●あ、それと、アコエレなのに自問自答をやんなかったのが意外でした。やんないこともあるんだ。アコギセットじゃなかったからかー。
(しょうがくせいの感想文みたいになりました。)

続くフアナ・モリーナ嬢。
非常に清潔感溢れるワンピ姿でひとりステージに登場したフアナ嬢。機材の真ん中に佇んでなにやら操作し、ぺよー。ぴよー。いうぐにゃぐにゃしたエレクトロニカ音を発しながらアコギをつま弾いて、さらにその上にやたら明瞭な発声法でお歌を重ねるという不思議なスタイルの方でした。非常に興味深かったのですが、ぺよー。ぴよー。と鳴る楽しいエレクトロニカ音に一気に体力を奪われ、日中からすっかり遊び疲れた俺30さい、ステージ脇ですっかり休憩モード。くったりしながら、脳内では昼間に観た香川照之のあんな表情、こんな表情がフラッシュバックして(ほんとうにこわかったらしい)ちょうダウナーな気分になっていたら、そこをステージ上での姿と寸分違わぬ向井先生(丁寧に帽子までかぶってた)が通りかかってそのまま颯爽と客席へ消えてゆかれたので心臓が止まりそうになりましたよ。こわいもんないのかあのひと。
その後もぺったり座ってお客さんをじいっと観察したりしていたのだけれど、まるで微動だにしないひと、死んでるひと(俺)、ゆらゆらしてるひと、いろんなタイプのお客さんがいてたのしかったです。中にはまるで妖精さんのような華麗なステップを踏んで周囲のお客さんを後ずさりさせていたお客さんもいらしたのだけれど、うっすら笑顔でスタスタ軽やかなステップを踏む彼女は本当にしあわせそうで、俺は少しいいものをみたなあという気分になったのでした。彼女はとてもかっこよかった。(ちょっとこわかったけど。)
そうそう。肝心のフアナさんもステキでしたよ。ただ、せっかくキレイなお声なのだけれど、エッジが立ちすぎていてちょっとエレクトロニカ音にはあわないかなあという気もしました。音源で聴いてみたらまた感じがちがうのかもなあとおもいました。

ハラカミせんせい。
むかーし一度だけライブをうっすら拝見したことがあったのですけれど、きちんと観るのははじめてでした。
ステージの横からじーっとお姿を拝見していたのですが、極めてリズムのとりにくいあの曲たちを何かのボタンをものすごい速度で操作しながら演奏するさまはとても興味深かったです。ギターなんかとちがって演奏姿が音に直結しないのに、みんなで集まって生で観るっていうのは不思議なことだなあと、改めて考えたりし。そう思うとごくごくお歌と演奏を楽しむ為にある向井先生のアコエレとハラカミ先生のライブちう非常に対極なものをいっぺんに観る、ていうのはいい経験だなあとひとりでニヤニヤしたら、なんだかさっきまで香川照之の悪夢にうなされていたのがまるで嘘のように、とてもたのしくなってきました。
演奏と演奏の間に挟む先生のおしゃべりの時間(わざわざマイクを手に持って非常にニュートラルなトーンでお話になられます。)もたのしく、出音もやたらでかくて低音の振動が床にまで響いていたのがさいこうでした。(そういうのがライブならではなのかもしれません。)ライブ中盤以降は比較的アッパーな曲が多く、大はしゃぎしていたらあっという間に終わってしまいました。もっともっと観たかった。近作を全く聴いていなくて拝見したのと、脇から観ていたせいで、おしゃべりの時間ちゅうやたら先生にいじられていたVJのニック・スミスさん(枚方在住)の映像が拝見できずだったのがとても残念でしたけれど、とてもたのしかったです。また観たいとおもいました。
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ライブが終わったらすっかり10時半をまわっていて。そこからまるさんとごはんでも食べますかーと心斎橋筋を南下するオーバーサーティーズ。土曜の街は大にぎわい。
わざわざネタが全部100えん!というお寿司やさんに「わあ胡散臭い!」と喜んで入っていって、カウンター席でわあ!シャリちいさい!(100えんだから)ふつうのネタはこわくて頼めない!(100えんだから)と大はしゃぎして店員さんに相手してもらえなくなる駄目な大人2名。最終的には謎のネタを頼んでみましょう大会になって、ちりめんじゃこ(プレーンな状態のじゃこを軍艦巻きにしただけのひじょうに100えんらしい1品)が意外とおいしくて2人で無言になったりしたのだけれど、やっぱりお魚はトトリのほうが美味しいなあとおもったりしたのでした。そういうのはやっぱり田舎のほうがよかったりするものですよね。

「ゆれる」を見終わってからずーっと俺は考えてたんですよ。なんでわざわざ俺はトトリにすんでいるのかということを。
いちにちオオサカで遊んで思ったのは、オオサカは映画もいっぱいやってるし、なんでも安くで手にはいるし、つかれたらすぐお茶もできるし(体力がないのですぐダラダラしたがります。)すごくいろんなことがべんりなのだけれど、不便なこともいっぱいあってたいへんだなあということで。
たとえば「ゆれる」を観たときも立ち見のひとがいっぱい出ていて、俺はまるさんが先にチケットをかってきてくださってたおかげで大丈夫だったのだけれど、映画の何時間か前にいっかい映画館に行ってチケット押さえとかなきゃいけないなんてことは、普段てきとうシネコン(指定席)で映画をみている俺にとってはあり得ないことなのですよ。だって映画館ちょう遠かったし!そういうのがふつうて、みんなよく頑張ってるなあと。思うの。いなかでゆるゆる暮らしている俺にはそういうの至極めんどうなことだと。おもうの。
そんなことをボエエと考えていたらまた香川照之のフラッシュバックがはじまって、また少し暗い気分になって。結局答えはでないまま、まるさんとお別れした後、お宿に戻ってくったり眠ってしまったのでした。
あ。でも、でも。
いつもはライブみるのがせいいっぱい日程でおじゃまするのだけれど、今回はめずらしくオオサカでいちにちあそんでちょう楽しかったです。まるさんには炎天下のなか早い時間からおつきあいいただいた上にさんざんごちそうして頂いたりしたので、せっかくのお休みなのにと申し訳ない気分でいっぱいだったのですが、まるさんたらなんだか次の日もライブを見に行かれたりされたそうなので、ほんとうに気合いの入ったかただなあとおもったりしました。ええと。ありがとうございました。またあそんでくらさい。

*1:判明)スタインバーガーという会社のギターなんだそうです。「清涼感のあるスカー、サラー、という音がでる」とのこと。(向井せんせい談@フジ721特番)