潜伏にっき(3にちめ)

この街は晴れていてもとてもさむいのだね。冬だから、という理由をべつにして、キリキリとさむい。
きょうはおやすみだから、電車にのっておでかけることにした。ぼくのお隣に座るご婦人の香水が、ぼくの背すじをピリッとさせる。
落ちつかないまま窓のそとを眺めていてふときづく。日のひかりがやけに明るくて、ぼくのしってる山陰のおひさまとはぜんぜんちがういろ。
ああ、ほんとうにここは知らない街なんだなあ。